Last Updated on 2022年6月3日 by 高橋 秀明
皆さんは、ご両親にどのように育ててもらえましたか?
親の育て方しだいで、子どもの人生が決まってくるくらい、親の育て方はとても大切です。
親のエゴや、親の子育てに対する無知は、子どもに悪影響を与えます。
では、適切な子育てとは、どういったものなのでしょうか?
もちろん、子どもの性格によって多少は異なると思いますが、一般的には変わらないと思います。
親のエゴや親の子育てに対する無知は論外ですが、基本的にどう考えてみたら良いと思いますか?
それは、「どう育てれば良いのか?」を考えるのではなく、「どう育てられたら良かった?」を考えてみることだと考えています。なぜなら、受け止める側の気持ちを理解するには、この方法が最適だと思われるからです。
今回は、「こう育ててもらえたら良かった子育て」について書いてみたいと思います。
まず、子どもはどんな心(意欲等)や力(能力等)を持ちたい、親から教えて欲しいと思っているのでしょうか?
それは、以下に示す「9つの意識」と考えています。
9つの意識
3つの個人的視点
ある人の心からみた視点を考えた場合、どのような視点があるのでしょうか。
結論から言うと、「自分の心・自尊心」という視点と、「自分の知識・行動」という視点と、「相手を思いやる心」という3つの視点となります。
これは、自分の感情と価値観と対人関係の3つとなります。
もう少し詳しく書いてみます。
1つ目は、「自分の心・自尊心」です。
自分のモチベーションや意欲、自分の存在価値を感じていれば、生き生きとエネルギッシュに行動でき、失敗しても、学べたという意識から、次へ進むことができます。しかし、意欲や存在価値がないと、心のブレーキを踏む等、自分の内面に対して不安を持ってしまします。
自分の心とは、自分の意識のことで、「自分には何があるのか? 自分はどんな存在か?」といった自己肯定感となります。
2つ目は、「自分の知識・行動」です。
世の中にあふれている情報や、自分の個性を生かしてくれる情報や、相手とのつながりを円滑にするための行動力があれは、自分のやりたいことを意欲的に進めることができます。外側の世界(対人関係等)に対して不安を持つ必要はありません。
自分の知識・行動は、自分の能力や体力といった力なので、「自分は何を知りたいか? 自分はどれだけのことができるか?」といった好奇心となります。
3つ目は、「相手を思いやる心」です。
人は、自分一人では生きていけないことを知っており、相互協力しあうためには、自分も相手も幸せになる知識や、コミュニケーションをとる方法を知る必要があります。適切に対面することや相手に配慮することで、自分のやりたいことを伝えることに躊躇する必要がないことが分かります。
相手を思いやる心は、「自分は相手にどう対応できるのか? 自分はどんな点で相手の役に立てる存在なのか?」といった関心力となります。
9つの意識
9つの意識は、3つの個人的視点に合わせ、外界すなわち世の中と具体的に接する際に必要な視点を社会的視点として3つを設定しました。
3つの社会的視点の1つ目は、世の中全体とどう関わるかという「全体」という視点、2つ目が、自分や相手といった「個人」という視点、3つ目が個人をつなぐという「協力」という視点となります。図にすると、脳の中みたいですね。
自分は、親からもらえたか?
では、9つの意識を具体的に見てみましょう。
これはあくまで事例です。この言葉が全てではありませんが、子どもの頃、自分はどう言って欲しかったのか振り返ってみましょう。
以下は、9つの意識それぞれについて、具体的な言葉を書いてみました。
どうですか?
自分の心や、能力(体力も)、そして対人関係を見たとき、自分はどんな意識に満たされていて、何が足りないのか見えてきましたか?
満たされているから増やさなくて良い、足りないから増やした方が良いということが言いたいわけではありません。
9つの意識を見て、「もっと増やした方がいいな」「もう十分持っているな」と自分を振り返ってもらうと良いと思います。
逆に「自分にはいらない」という気持ちがわいたのなら、それで良いと思います。
そして、「自分は、なぜ持っていないんだろう?」と、振り返ってもらうことが大切だと思っています。
以下は、9つの意識について、もう少しどんな意味合いがあるのか書いてみたいと思います。
自分の心を向き合う(自己肯定感が欲しかった)
自己存在感
自己存在感とは、「自分はここにいていいんだ」「自分はここにいる意味があるんだ」と思わせてくれる感情のことです。
この感情が満たされる場所にいると、自分の心は、安心した状態になります。
自分の家で感じる人もいますし、職場で感じる人もいるでしょう。しかし、自分の家で自己存在感を感じることができなければ、自分はどこへ行けば良いのか分からなくなります。
自己存在感は、自分が子どもの頃、親が提供してくれます。親が繰り返し、自分の存在に感謝や喜びを感じてくれることで、自分の心に自己存在感が身につくのです。
すると、それ以降、どこへ行ったとしても、戻ってくる場所があると思えるので、チャレンジする意欲が湧くのです。
これを、安全基地と言います。
自己効力感
自己効力感とは、「自分にはできる力がある」「自分には発揮できる能力がある」と思える感情のことです。
親から、繰り返し「あなたには力がある」と笑顔で聞かされると、心の中にこの自己効力感が染み渡るのです。
もちろん、力があると思っても、世の中に出れば、失敗することはたくさんあります。
しかし、たとえ失敗したとしても、自分の力を認めてくれている人がいると思うと、失敗をポジティブに学びととらえ、次に目を向けることができるようになるのです。
自分には、どんな個性があり、どんな力が必要なのかをポジティブに探そうとするワクワクした意欲を持ち続けることができるのです。
自己有用感
自己有用感とは、「自分は役に立つ力がある」「自分は、他の人の喜んでもらえる力がある」と思える感情のことです。
小さな事でも家庭内でお手伝いをして、親から「ありがとう」というお礼の言葉や、「役に立った」という感謝の言葉を繰り返し聞くことで、自分の心の深い部分に、「自分は人の役に立つ存在だ」という心が染みこむのです。
すると、何年経っても、「相手の役に立つためには何をすれば良いのか」という、思いやりの心で行動することが当たり前になるのです。
自分の知識や身体と向き合う(好奇心を増やしたかった)
拡散的好奇心
拡散的好奇心とは、あらゆる情報を収集したい、吸収したいと思う心のことです。新しい世の中を作るには、新しいアイデアが必要です。
新しいアイデアは、今までになかった2つの要素を組み合わせることで出来上がります。
つまり、いろんな情報を吸収し、会得し、そして、その中から「これとこれを組み合わせると面白いんじゃない?」というものが見えてくるのです。
そのためには、いろんな情報を楽しんで吸収することです。
この心は、親から、いろんなところへ連れて行ってもらったり、いろんな話を楽しく聞かせてもらうことで身についていきます。
途中からは、「他に何があるのかな?」と自分で探すようになるのです。
知的好奇心
知的好奇心とは、自分の興味、自分の得意なことを見つけるため好奇心であり、見つかったものをさらに深掘りするためのものです。
自分の個性にあったものが見つかると、深掘りすることが楽しくなり、得意なものとなります。
一つのことに集中することで、知的好奇心が養われます。何度も何度も同じ事を繰り返し、知的好奇心が磨かれていきます。
知的好奇心を養うには、誰にも邪魔されない、集中できる時間を持つことです。
知的好奇心の必要性を知らない親は、親の興味でいろいろ勧めてしまい、子どもが混乱してしまうことです。
知的好奇心は、時間とともに見極められていき、いろんな方面に変化する中で、だんだん絞られ、固定していくのです。
人生のタームで見れば、数十年後に別の分野に知的好奇心が向くこともあります。
共感的好奇心
共感的好奇心とは、「あの人は、何を考えているのだろう?」「どうしてそういう考えに至ったのだろう?」「この人が本当に欲しいものは何なんだろう?」というように、相手に関心をもち、相手の関心事に関心を持つことで、共感的好奇心が育まれていきます。
人は一人では生きていけないことを知り、自分の野望や願望を満たすためには、いろんな人の協力が必要であることを知り、そのために持つべき心と言えます。
共感的好奇心は、親が子どもの関心事に興味を持ち、会話をし、満たすべく行動をしてもらうことで、共感的好奇心の必要性、重要性を認識することができます。
相手を思いやる心(他人との関わり方を教えて欲しかった)
受容
受容とは、相手を受け入れることです。
何を受け入れるのかというと、それは、相手の存在そのものを受け入れるということです。
相手が上手くいっても失敗しても、良いことしても悪いことをしても、それらを含め、その人自身なんだ、という気持ちを持ち、相手を受け入れてあげる心のことです。
相手が、何か悪いことをしてしまったとしても、行動が悪かったのかもしれないが、相手の存在自体が悪いわけではないことを受け止めることで、相手は、自分の存在を肯定することができ、自分の行動を見直す意欲を持つことができるのです。
受容の心は、親から受容してもらうことで育むことができます。
育まれた受容感は、自分の周りの人に対して使うことができるようになるのです。
理解
理解とは、ある出来事に対して相手が感じた事を自分もその場にいたかのように感じる心です。
人は、自分の感じた事を伝えたい、理解して欲しいと思っています。しかし、なかなか理解してくれる人が少ないのも現状です。
本来、学ばなくてはいけないものではなく、親が小さい頃から、子どもの行動に共感し理解を示していれば、子どもは自分の考えを理解してもらっているという、うれしさや喜びを感じることができるため、その喜びを他の人にも味わってもらうことで、信頼関係を構築することができるのです。
協力
協力とは、ある目的に向かって力を合わせ、物事を成し遂げることです。
誰しも一人ひとり、自分のやりたいことがあると思いますが、一人では成し遂げられないことも知っています。
そこで、人は協力という手法を使います。
しかし、自分のやりたいことに協力してもらうには、相手もやりたいことがあるので、相手のやりたいことを成し遂げないと協力してもらえないことになります。
自分のやりたいことを成し遂げるためには、相手のやりたいことも成し遂げるという相互協力関係が大切なのです。
自分だけが勝とう、自分さえ良ければ、自分の家族さえ、自分の会社さえ、自分の地域さえ、自分の国さえ良ければ、これでは相互協力関係は結べません。
まず、ある時期を境に、親にしっかり依存を終了してもらい、親は子離れを経験するとともに、子どもも親離れを意識し、依存的親子関係から脱却し、高校生以降、相互協力関係を親から学ぶことによって、培われていきます。
いかがだったでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
何か気づいた点がありました、教えていただけたら幸いです。
今日はここまで!!
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