第2章トラウマの原因は、自分であると考えてしまう理由

Last Updated on 2022年9月8日 by 高橋 秀明

自分がなぜ他の人のような積極的な行動がとれないのか、他の人のように発言ができず怯えているのか、心配性で不安が強いのかなど、自分で原因を探る中で、もしかしたら? と、トラウマについても考えるようになる。

まあ、不調を感じ、変だと感じたからこそ、何とかしようと思えるところまで到達できたということでしょうね。

まずは、自分のどこに問題があるのかと考える。自分がどうすれば良くなるのか、改善できるのかと考える。

そうですね。変なもの食べておなかを壊したとか、ケンカして傷を負ったとか、車にぶつかって骨が折れたとか目に見えるものであるなら、これから、この点を気をつけよう、こうすればよいのかと自分を見つめますよね。

自分のミスや不注意であれば、行動を変えるなど、意識すれば良いことになる。
しかし、トラウマの場合は、対処できなかった子どもの頃のことなので、「原因は自分にはない」という意識を持つ必要がある。
トラウマの原因となり得るものはたくさんあると思うが、根本的な原因は、親の子育てのやりかたの問題なんじゃ。
サーカスの象の話は聞いたことがあるか?

いいえ、ないです。

あるサーカス団に子どものゾウがやってきたんじゃ。
普段は、おりの中で生活しているのじゃが、日中は杭と鎖につながれておる。子どもゾウは、はじめのうちは杭を抜こうとしたり、鎖を切ろうとしたりしたが、子どもゾウの力ではどうすることもできなかった。
子どもゾウは、演技を覚えるため、指導員から厳しくしつけられ、棒やムチで叩かれる毎日を過ごしているうち、逃げることをあきらめ、演技を覚えることに一生懸命になった。そのおかげで、子どもゾウは、サーカスで、とても元気に演技をし、パフォーマンスがとても上手になり、玉転がし、輪投げ、水撒きなど何でもこなし、見に来た観客の歓声をたくさん浴び、一躍人気者になったのじゃ。
数年経ち、子どもゾウは成長し大人ゾウ、サーカス団に入った頃より、高さも4倍、体重も20倍に増えていた。大人ゾウは、鎖をちぎったり、杭を抜いたりする力が十分あるにも関わらず、「今まで食料を与えてくれた、鎖に縛られて逃げ出すことができない、逃げてもどうすることもできない」と思い込んでおり、死ぬまでサーカス団の一員として一生を終えたのでした。というお話じゃ。

このゾウは、生涯幸せだったんでしょうか?

途中であきらめたって思っているのなら、幸せだったとは思えないよな。
人間であれば、いろんな世界を見て、自分のやりたいことや好きなことが見えたにもかかわらず、「どうすることもできない」「あきらめるしかない」「思い通りになるわけがない」と思い込んでいたら、苦しくてつらい人生だとわしゃ思うな。

つまり、子どもの場合で言えば、親の教育によってトラウマを持ってしまったのであって、子どものあなたに原因はない。ということじゃ。
鎖につながれていること自体が間違いであったことに気づき、鎖を捨てて自分の足で動いていけば良いのじゃ。

まずは、今の苦しい状態は、自分のせいではないという気持ちが大切なのですね。

そういうことじゃ。

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あなたが、今つらいのは、あなたの性格や能力のせいではない。

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