甘えるとは・甘えさせるとは・甘やかすとは それぞれ何が違うの?

Last Updated on 2023年8月8日 by 高橋 秀明

「甘え」と「甘やかす」の違いがよく分かりません。最初は、甘えさせても良いが、途中から厳しくしないと甘え癖がつくとも聞いたことがあります。どう考えたら良いのでしょうか。教えてください。

子どもは、思う存分しっかり甘えた方が良いという意見もあれば、甘え癖がついてしまうので、ある程度甘えさせたらそこからは我慢させた方が良いという意見もあります。

人によっては、子どもの頃、いっぱい我慢させられたから、私は、今立派に育ったんだという方もいらっしゃいます。では、本当はどうすれば良いのでしょうか?
今回は、「甘え」と「甘えさせ」と「甘やかし」の違いと、「甘えさせる」メリットについてお伝えしたいと思います。

目次

「甘え」「甘えさせ」「甘やかし」の違い

この3つの違いについてですが、甘えは、あくまで一方通行だと言うことです。
甘えは、子どもが親に甘える、です。「甘え」=「依存」なのです。

逆に言うと、親が子どもに甘えることはありません。
親が子どもに甘えている状態は、子どもがいなくては生きていけないと
「子どもにしがみついてしまっている状態」を指します。

奥さんが旦那さんに甘えることも、本来はありません。一般的には使われる言い方ですよね。
硬い表現になってしまいますが、実際は「依存」ではなく、「依頼」と言います。
何が違うのかというと、奥さんが旦那さんに甘える行動を取った際、旦那さんが忙しかったら「ごめん、後で」って言いますし、奥さんも「後でね」って返しますよね。
つまり、依頼して、依頼が通らなければ調整する、ということになるわけです。
この調整を許さない場合、これが「甘え」となります。

甘えは、子どもが親に対して取る行動であり、その甘えに対応して、親のとる行動が甘えさせ(「甘えさせる」)なのです。「する」に対して「させる」という対応ですので、簡単ですね。

では、「甘やかし」とは、何でしょうか?

「冷やかし」「誤魔化し」「甘やかし」

ちょっとわかりやすいように語呂の良い言葉を並べてみました。
語源を探ると、「冷やかし」は「冷やす」ではなく「冷やしているつもりになっている」ということだそうです。

他の方の資料によると、吉原近くに古紙の再利用をしている職人がいたそうです。書き損じや要らなくなった古紙を集め、湯がいて溶かし、再び和紙を作ったそうですが、湯がいて溶かして冷ましている間、時間を持て余すので、吉原に遊女を見に行ったそうです。もちろん遊ぶためではなく、古紙を冷ましているだけなので、吉原のお店からすると邪魔なお客なわけですね。すると、女将から「冷やかしてるんじゃないよ!」って言われてしまったようです。

まさに「誤魔化している」んですね。「甘やかし」も同じで「甘えさせる」ではなく「甘えさせているつもりになっている」なんです。
「甘やかし」は、子どもの要求をのんでいるのではなく、子どもの要求を利用して親が「甘え」てしまっている状態なのです。

親が「甘える」って?

親が「甘える」、つまり「甘やかす」というのは、子どもが要求していないのに、靴紐を結んだり、抱っこしたり、先に買ってあげたりすることです。

親の意識としては、先回りしてやってあげることで、自分の時間とおりに事を運ぶ、お店でせがまれないように、泣かれないように事前に手を打つこと、つまり親が自分の欲求を満たそうと子どもを使っているのです。子どもは、自分の欲求が満たされないのと同時に、状況によっては欲しいものがあったら手に入ると理解します。

甘やかすことによって、誰が得するのか?
もちろん、子どもではありませんよね。

「甘えさせる」メリット

甘えさせるメリットは、愛着という機能が、子どもの心の中に根づくことにあります。
愛着という機能が根づかない状態を愛着障害と言います。愛着障害は、そのときには見えないかもしれませんが、将来満たされなかった愛情が、大人になってから表面に表れ、いろんな症状を誘発する原因となります。

例えば、「抱っこ」を要求され、抱っこしてあげることで、子どもは、自己肯定感の中の「自己存在感」が身につきます。親の愛情とともに、自分の存在に意味があることを心の底から理解するわけです。

また、子どもが「自分でボタンを留める!」と言い、親が時間を取って見守ってあげることで、子どもは、自己肯定感の中の「自己効力感」が身につきます。時間がかかってもできたことで、見守ってくれた親の愛情とともに、自分には能力があるということを心の底から理解できるのです。

他に、「自分がお母さんのお菓子をテーブルまで運ぶ」を要求され、運べたことを聞いた親が「ありがとう」とこたえることで、子どもは、自己肯定感の中の「自己有用感」が身につきます。自分は、人の役に立つ力があるということを心の底から理解できるわけです。


いかがだったでしょうか
甘える、甘えさせる、甘やかすと3つのちがいと、甘えさせるメリットについてお伝えしました。

実際、甘えさせると言っても大人には大人なりの時間があり、何でも言うことを聞けばよいわけではないと思います。「甘えさせる」と「甘やかす」の境目、バランスが難しいように思います。また、別の機会でお話ししたいと思います。

ではでは

心理カウンセリングを行っています。

ストアカで講座を開いています。

自己肯定感UP 心を元気にするコミュニケーション講座 好奇心と傾聴

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