Last Updated on 2022年6月7日 by 高橋 秀明
反省と内省の違いについて、書いてみます。
反省は、間違った点に対して、やり方に変えることです。表に見えるものであり、表に見える形での解決を目指すものです。
内省は、間違った点に対して、どうして違ってしまったのか等ありかたを見つめ、新しい見方に改善することです。心の中の見えない部分であり、個人的なひらめきや気づきなどにより解決を目指すものです。
反省とは
反省とは、反対側を細かく見ることです。反省の「反」は、反る(そる)とも読みますが、「まっすぐな状態のものをまっすぐではない状態にする」という意味です。反省の「省」は、省く(はぶく)とも読みますが、「目を細めてじっくり見る、観察する」という意味があります。具体的なものを、別の形に変えたりするときに使うので、顕在意識(表面意識)が主となります。
反省は、行動だけと向き合うこととなります。やり方とも言えます。逆の方向を考え、次の行動に具体的に移すための方策と言えます。
内省とは
内省とは、内側を細かく見ることです。内は、冂(けいがまえ)に人のような字を書きます。旧字体は冂に入ると書き、おおいの中に入れる意味となります。心の内側を細かく見るということになります。イメージや、ひらめきといった、感覚的なものを見るときに使うので、潜在意識が主となります。
内省は、心と向き合うこととなります。あり方とも言えます。どうであればよかったのかを考え、次の行動に移すために必要な、自分の意欲や、意味、必要性や、会社の方針と自分との関わりと言うように、思考や感情と向き合い、次の行動に移すためのあり方を見つめる方法と言えます。
潜在意識は95%、顕在意識が5%と言われているように、人の行動のほとんどは、潜在意識で成り立っていますので、使わない手はないですね。
ちなみに、「内観」と「内省」との違いは、観の字は、全体をざっくりと見ることです。観光とか、観覧とか、達観というときに使う漢字ですね。
反省と内省の違い
反省と内省の違いと使い方について下図にしてみました。
上の「反省」は、例えば、部下がミスをした際に、「ちゃんとしろ、反省しろ!」としか言わない使えない上司の頭の中身。
もちろん、これでOKな部下もいるかもしれないが、上司としての資質がないし、管理者として失格。
真ん中の「内省」は、部下思いの上司は、相談室に一緒に入って、傾聴し共感しながら、部下の内省を手伝ってあげる。
すると、部下は、自分としてできる最適解Cを見つけ、上司に相談する。
下の「内省と反省」は、部下が考えたCについて、業務としての可能性を検討し、結果Cが最適解として、実行されることとなる。
部下も上司も笑顔となり、業績も上がる。
反省のメリット・デメリット
別の行動がとれる
反省することにより、今まで気づかなかったり、直せなかった間違いが明確になり、間違った行動から正しい行動に行動を変えることができます。しかし、どちらかと言うと短絡的な側面からの正しい行動への変更であり、極端な方向や、全体から見ると別の間違った行動に至る可能性があります。
新しい対策ができる
反省することにより、新しい見方ができ、今までできなかった対策を取ることができるようになります。しかし、新しい見方が、今までとは逆の発想が前提であり、視野が狭く、答えがこれしかないと思ってしまう傾向があります。
目標が明確になる
反省することにより、何をしなければいけないから明確になり、新しい目標が明確になります。しかし、目標という視点から脱却していない点から、目標に集中しすぎて、目的意識が薄れ、目的からずれて、間違った新しい目標となってしまっている可能性もあるのに気づいていない場合があります。
内省のメリット・デメリット
いろんな可能性が見える
内省することにより、今まで気づかなかったり、直せなかったっ間違いが明確になり、そういった点では、反省と変わりませんが、違う点は、全体的な視点がメインとなるため、極端な方向への変更ではなく、その場面や状況に合うなど、最善の方向への変更ができるようになります。
客観的な見方ができる
内省することにより、考え方が単一思考から全体思考に意識が変わり、幅広く、客観的な見方をすることができるようになります。自分視点のみから会社視点、世の中視点など、いろんな視点を意識することができることで、新しい発見ができるようになります。
モチベーションが上がる
内省することにより、ネガティブなイメージしかなかった発想が、今まで気づかなかった発想や難しいと思っていた発想に対し、モチベーションを上げてくれる発想を思いつくことができるようになります。
目的が明確化する
内省することにより、反省では気づかなかった視点を観察することができ、目的にさかのぼるなど、幅広い視野からの解決を見たり、その結果目的が明確になり、継続的な目標にすることができ、意欲が湧いてきたりします。
十二分に内省し、反省に持ち込む
内省した後の反省は、何をどうするか明確になり、方向性が定まっているので、本当の意味での反省となるのです。
内省のやり方
自分一人でやる方法
一番簡単な内省のやり方は、「瞑想」です。
朝起きる直前や、寝る直前に坐禅や胡坐で目を閉じ、呼吸を落ち着かせ、頭の中を無の状態にします。
いろいろ、頭に思い浮かんでしまうので、時計の音や、室内の音、呼吸などに意識を向けます。
時間は、人それぞれですが、最初は、5分からスタートし、15分くらいと言われています。
私は、15分くらいの時もあるし、1時間の時もあります。
そこまで深くやらない方法としては、電車のなかでやってみるのもいいですね。
紙に書き出す
反省するときって、いろんな思いがあると思います。
そういった、頭の中を駆け巡るいろんな思いは、ネガティブな感情を連鎖させる可能性があるので、整理する上でいったん紙の上に書き出す(テーブルの上に乗せる)ことで、どんな材料があるのか目で見ることによって順番に片づけることができるようになります(料理と同じですね)。
複数人でやる方法
他に、複数人でやる方法として、30分持ち時間を与えて、その人一人だけが自分の過去の体験を話すという方法もあります。
自分の興味や、楽しかった出来事、苦しかった出来事などを話すことで、自分を見つめ直すことができます。
例えば、会社で、新入社員が入ってきた時とか、新しいプロジェクトが立ち上がった時などに使うと良いですね。
どんな思いで、会社を選び(プロジェクトに参加し)、今後を考えているのかという思いを他の人も知ることができ、会社やプロジェクトの動きがとてもよくなります。
いかがだったでしょうか。
反省だけで十分な時もあると思いますが、反省が上手く機能しなかった場合は、内省を考えてみるのも良い方法だと思います。
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