Last Updated on 2023年8月8日 by 高橋 秀明
自立意識とは
本来、子どもは生まれ育つ課程で自立したいと考えるようになります。
親から自立するための方法を学び、実践し、失敗を繰り返す中で自分の確固たるものを作り、自立していくのです。
そして、自立し大人になると、結婚し、子どもを作り、自分の子どもに自立の仕方を教え、その子どもが自立していくわけです。
こう書くと、依存という言葉が出てこないので、自立するために依存は不要のように見えますが、子どもにとって依存はとても大切な行動なのです。
では、依存や共依存とは一体どういったものなのかみていきましょう。
依存意識とは
子どもは、自立するための意欲を、親から受け取ります。
意欲は感情ですから、学ぶものではなく、心に浸透するものなのです。
では、どのようにして子どもの心に浸透するのかというと、そこで大切なポイントが「依存」なのです。
アルコール依存と同じ?
依存は、アルコール依存症などという言葉があるように、どちらかというと悪いイメージがありますが、子どもにとって依存は、大切な行動・行為なのです。
私の中では、「依存=甘え」と捉えています。
人は、依存することにより、安心感を満たすことができます。
この点だけを見るなら、親もアルコールも同じなのかもしれません。
大きな違いは、「心を満たしたい」と思うか、「脳を麻痺させたい」と思うかの違いです。
子どもは、親に依存する事により、心を満たし、安心感を持つことができます。
安全基地という機能
安心感というのは、心理学的には安全基地と呼ばれるものです。
安全基地とは、自分の行動になにか問題(失敗など)があっても守ってくれる場所、不安を感じてもしっかり受け止めてくれる精神的な場所(機能)のことです。
「甘え」を繰り返し、いつでも受け止めてくれる存在(主に母親)がいることで、心の中に安心感が持て、安全基地を確立させることができるのです。
子どもは、自分の心の中に安全基地を確立させることで、自立に向け安心して外の世界に行動範囲を広げることができるわけです。
安全基地というモノが心の中に出来上がると、心の中に形として定着するので、枯渇することがありません(多くは、母親や父親の愛情であり、失敗や不安があったとき、受け入れてくれる存在であり、力になってくれる存在として、すぐに思い出すことができるのです)。
アルコールや薬物は、親から得たいと思った安心感が得られなかったための代替品であるため、酔いが覚めると枯渇してしまいます。世の中には不安が渦巻いているので、不安を解消しようと、また飲んでしまうのです。
共依存とは
本来、依存は子どもから親への一方通行なのですが、親がストレスを抱え解消する場所が見つからないとき、解消相手を子どもしてしまいます。
子どもが知らないことやできないこと、不得意なこと(子どもができることであっても)を先回りして対処します。
親は、自分が役に立っている姿を子どもに見せ、伝えることで、自己存在感や自己効力感、自己有用感を感じることができ、ストレスを軽減させようとしているのです。
親の目的は、ストレス解消です。
子どもは、そのような親の目的(もちろん無自覚でしょうが)を知らないので、子どもは、自分を必要としてくれていると感じ、親の先回りに感謝し、親の要求にも応えようとします。
子どもが、親に依存するのは自然の状態ですが、親が子どもに依存してしまったため、共依存が成立してしまったのです。
共依存を解消するには
元々、親のストレスの原因は子どもではないので、ストレスは解消されません。
共依存の解消は、親が、自分のストレスと向き合い解消するのが一番です。
親が自分のストレスと向き合う事ができない場合、子どもが、自分のストレスに気づき、解消しようと考え、親から精神的にも肉体的にも離れることです。
親子関係の共依存について書きましたが、ストレス解消のため依存先を変えることもできますので、お互い依存し合うことでストレスを軽減させようと思う(無自覚でしょうが)のであれば、夫婦間でも恋人間でも可能になります。
自立期と依存期
生まれてから子どもは親に依存し、途中から自立に移行し始めます。
ある時期から、依存したいという気持ちが減り、自立したいと思う気持ちが増えてくるのです。
図で書くとこのような図になるでしょうか。(もちろん、イメージです)
青色が、依存つまり甘えたい時期であり、甘えたい量です。
中学生に向けて、甘えたい気持ちが減るとともに自立意識が増えていきます。
子どもが甘えたい時期に、親が自立に向けた勉強を強要したり、何もしなかったり(ネグレクト)すると、子どもは甘えられなかったわだかまりを持ち続けます。(下図)
わだかまりは、頭の中で繰り返し「甘えさせてもらえなかった」と繰り返し強化されていくので、年齢が何歳になっても(高齢になっても!)減っていきません。
その結果、自立に向けた意識(自立しようとする意欲や勉強時間などの量)が低いまま大人としての時間を過ごすことになってしまうのです。
自分の周りの人が自立に向けた行動をとっていて、自分が取れない場合、その原因を追求したり、解消したりせず、甘えられなかったわだかまりを隠そうとしストレスを溜め込んでしまいます。
溜め込んだストレスは、どこかで解消しなければ生きて行かれないので、はけ口として、部下や奥さん、子どもなど周りの人に怒りをぶつけてしまい、人間関係を悪化させてしまうのです。
一般的に、この怒りの原因をトラウマと言います。
いかがだったでしょうか。
今回は、自立と依存と共依存についてお話をさせていただきました。
ありがとうございました。
コメント